図録表紙

 

テーマ:特別展「紀州・移動する職人たち」

内 容:紀州には、原材料となる資源と、製品や技術に対する需要を求めて、移動しながら生計を立てる職人が見られる。これらの職種は、県内のみならず、県外へも活動の場を自由に展開させ、時にはその技術を伝えていった。また、逆に県外から紀州へ活動の場を求めて入ってくる職人もあった。 この特別展では、そうした“移動する職人たち”の技術を民俗資料や写真資料から紹介し、その歴史や移動範囲について紹介する。展示内容は、秋の遠足シーズンに合わせ、小学校高学年社会科の地域の伝統産業学習にも活用できるよう配慮し、来館学校団体を対象に展示解説を実施する。

展示資料:

 鍛冶職人(紀州鍛冶)―鍛冶作業用具・移動に関する資料等

南部町埴田・新宮市を本拠地として、近畿各地の農村へ出張し、農家で使用する農道具の修繕を行った。明治以降、移動先へ定着した職人も多い。

 炭焼き職人・木地職人―製炭用具・木地用具・写真資料等

備長炭を焼く職人は、日高郡・西牟婁郡・東牟婁郡に広く分布し、材料となるウバメガシ他を求めて県内各地を移動した。木地職人は、海草郡の山地に点在し、消費地に出荷した。

特 色:@職人の技術は江戸時代に確立され、近年まで伝承されてきた。その技術を民俗資料から紹介。職人は需要や資源を求めて移動する。

A大正時代以降は、主として産業の近代化により活動の場を狭めていき廃業する者も多い。

B職人の移動は、需要や資源を求めることが契機となっており、明治以降は移動がより自由になった。地域間の活発な移動が、技術の伝播や他地域との技術交流を促した。

期 間:平成15年9月27日〜11月24日   会 場:県立紀伊風土記の丘資料館 企画展示室